ヤマーン!特集

知ってた? PENTAXの最新デバイス

PENTAX Optio WG-1 GPS シャイニーオレンジ。GPS機能を兼ね備えたタフネスデジカメだ。

最近ではひとつのジャンルを形成しつつある防水・耐ショックを売りにした「タフネスデジカメ」。なかでも、尖ったデザインとユニークな機能を満載したPENTAXのOptio WG-1/WG-1 GPSはそのコンセプトイメージとして「クライミング」を掲げ、我々ヤマーンメンバーのドギモを抜きました。そして同社のデジタル一眼レフカメラに対応した待望のGPSユニット、O-GPS1は天体追尾撮影や電子コンパス機能を搭載したことでアウトドアファンのハートをガッチリとキャッチ。こちらも山登りのお供として非常に魅力的なガジェットと言えます。
ということで、ヤマーンメンバーきってのPENTAXユーザーである高久がPENTAX イメージング・システム事業部マーケティング統括部 商品企画グループの前川泰之氏にこれらデバイスの具体的な魅力や展望についていろいろと伺ってきました。いまや山登りの必携アイテムであるデジカメ選びに悩んでいるみなさん、必見のインタビューですよっ!


インタビューに答えていただいたマーケティング統括部 商品企画グループの前川泰之氏(左)と
今回の取材に協力していただいたマーケティング統括部 PRチームの小熊亜紀子氏(右)。

−いわゆる「タフネスデジカメ」やオプションとしてのGPSユニットはいろいろなメーカーから発売されています。スペックデータを見るのが好きなガジェットマニアにはもはやおなじみかもしれませんが、カメラに詳しくない山ガールやこれまでクライマーのコアな層を形成していたミドルエイジの人にはあまり伝わらないところもあるかもしれません。ということで、今回は発売されて間もないPENTAXさんのOptio WG-1シリーズとO-GPS1について伺いたいと思います。
どちらもアウトドアで使うということ、しかもフィジカルな意味でもデジタルな意味でもハードな使い方が想定されたアイテムですよね。どのような経緯でこうしたアイテムが連続して商品化されたのでしょうか。

 数年前にさかのぼるのですが、社内で「PENTAXのカメラを今後どうしていこうか」という話になったときに、「アウトドア」というキーワードで商品をつくっていこう、ということになりました。いま話に上がったふたつの商品はその流れに乗ったものと言えますね。

−なるほど、ではまずデジタル一眼レフカメラに対応したGPSユニット、O-GPS1についてなんですが、ずばりそのコンセプトは?


PENTAX GPS UNIT O-GPS1。
同社製のデジタル一眼レフと組み合わせることで独創的かつ多彩な機能を楽しめるGPSユニット。

まずはPENTAXの旗艦アイテムである一眼レフ、これを野外に持ち出してアウトドアならではの使い方を提示できるようなアイテム、機能は何だろうと考え、いろいろと列記したなかにGPS機能がありました。それが具現化したのがO-GPS1ですね。

-山登りやハイキングというシーンを考えたときに、「O-GPS1があるとこんなことができる!」というのは……?

いちばん大きいのは「写真を撮った位置を記録することができる」ということですね。撮った後でその場所の情報も画像と一緒に共有できるんです。そして、場所と一緒に高度も記録されます。

−それは楽しいですね! ちなみにイジワルな質問ですが、高度の誤差はどれくらい出るものなんですか?

GPS衛星との三角測量によって高度を測定しているので、実際には10数メートルのずれが出てしまいます。

−山登りの用途なら、高さ方向に10数メートルの誤差であればあまり問題はなさそうですね。コースが理解できていれば、地図と照らし合わせてだいたいの位置は把握できると思います。
位置や高度の情報は家に帰ってデータを見れば分かるんでしょうか?それとも、その場で即座に分かるんでしょうか?

撮ったら即座に分かります。カメラの背面液晶に緯度、経度、高度が表示されます。

−さて、O-GPS1の機能として大変話題になっている天体追尾撮影機能「アストロトレーサー」(※1)ですが、この機能を使えば山小屋の軒先やテントサイトでも星空を気軽に撮影できる素晴らしい機能だと思います。ところでもうひとつこの製品のセールスポイントとしている「直線ナビ」という機能は具体的にどのようなものなのでしょうか。どう使ったらいいのか少しイメージしにくいのですが……。

簡単に説明すると、ある写真をほかの人からもらい、そこにGPSの情報が含まれていれば、そのデータを利用して、カメラがその撮影地点へ誘導してくれるという機能です。たとえば友人がピクニックに行って、きれいな風景を撮影したとしますよね。その写真に位置情報が含まれていれば、写真データをもらうことで、撮影地点への距離と方位を示してくれるんです。歩くことが可能な距離ならO-GPS1を取り付けたカメラに従って進めばOK、ということになります。写真データはペンタックス以外のカメラで撮られた画像でも、ケータイで撮られた画像でもOKです。

−なるほど。ちょっとしたオリエンテーリングのような遊び方ができるわけですね。逆にこの機能を利用して、たとえば富士山がどちらの方角にあるかを検出することもできたりするんでしょうか?本州ならば富士山が見える山域もたくさんありますし、当然「富士山の写真を撮りたい」というニーズもあると思います。

理論的には可能です。ただ、現状では富士山頂で撮った位置情報付きの写真データがないと誘導できません。というのも、自由に位置情報のデータを編集する方法をまだ公開していないんです。もちろんデータはデータですから、ルールに則って記述したファイルをあらかじめ自分で用意して直線ナビに登録すればいいだけなのですが……。直線ナビではSDカードに120件まで位置情報を登録できるので、いまのような使用法を想定すると、山座同定マニアにはうれしい機能かもしれませんね。そういう意味では位置情報をユーザー自らが編集して登録する方法の整備を今後していきたいところです。(※2

−ぜひともお願いしたく思います。さて、撮影データを持ち帰ってからの活用法はユーザーの数だけさまざまだと思うのですが、たとえば歩行ペースや料理、テントサイトや道標などの山行記録を昔ながらのメモと鉛筆ではなく、時間と位置情報が付加された画像で記録できるというのはGPS付きのデジタルカメラならではだと思います。このほかに、記録としてさらなる付加価値は考えられますか?

山行記録として、となるとあまり有用かどうか分かりませんが、鉄道の写真を撮るユーザーさんからの強い要望だった「撮影した方位」を記録できる機能というのはこれまでにないフィーチャーだと思います。単純な方位磁石とは違って、GPSで偏角(※3)をきちんと修正しているのも貴重なデータになると思います。

−たしかに、グネグネした山道を歩いていると、自分の感覚と方位がかなりずれていることがあったりするので、それを後からきちんと追体験できるのは重要かもしれませんね。ちなみにその方位データを利用して、たとえばGoogle Earth上で視点を再現するという遊びはできたりしますか?

できたら楽しいのですが、現状ではできません。ソフトウエアがまだ開発されていないのでそうしたデータの運用はユーザーさんの工夫次第になってしまうんです。とはいえ、そういう遊び方がより一般化して広がると喜ばれるだろう、ということは把握していますので、今後どうにかしていきたい部分ですね。

−ところで、O-GPS1のアウトドアにおけるタフさというのはどれくらい考えられているのでしょうか。

O-GPS1単体では簡易防滴に対応しています。パーツの合わせ目や開閉する部分にはパッキンを入れていますし、ボディとの接点も防滴構造にしています。デジタル一眼レフカメラのフラッグシップモデルであるK-5や645Dのボディは防塵防滴ですので、O-GPS1を装着した状態で少し水が付着する程度では壊れるようなことはありません。

−なるほど。少し高い山になると霧の中を歩いたりすることもしょっちゅうですから、それは安心ですね。さて、タフネスデジカメとして今大注目のOptio WG-1/WG-1 GPS(以下WG-1)についてですが、こちらは最初に4種のカラーで新発売が告知されたときにヤマーン!でも取り上げさせてもらいました。はっきりと「クライミングユース」を謳ったコンパクトデジカメというのはこれまでなかったのではないのでしょうか。


Optio WG-1の製品情報サイトには大きく「CLIMBING」の文字が踊る。

そうですね。これまでタフネスデジカメと分類されるものとしてはWシリーズがありましたが、今回はWGシリーズとしてナンバリングも仕切り直し、デザインやユーザーへの訴求力についてイチからしっかりと企画を練って開発を進めました。

−これまでのWシリーズを振り返るとややそっけないデザインのものあったりしましたが、WG-1はかなり攻めたデザインになっています。いわゆるストラップがわりのスリングやカラビナもセットになっているところも含め、クライマーにとても響くパッケージングだと思うのですが、こうしたかたちにまとめ上げる上で、アドバイザーを招いたりしたのでしょうか?

特にアドバイザーが付いたわけではなく、社内で知恵を絞りました。色の組み合わせやカタチなど、ディテールに至るまでクライミングギアやアウトドアグッズの意匠を研究して反映させています。レンズ周りのベゼル風処理なんかも写真の善し悪しには全く影響しないのですが、デザイン優先で取り入れています(笑)。

−そうですよね(笑)。でもその甲斐あって、とても魅力的なカメラに仕上がっていると思います。実用面で言うと、耐低温をスペックとして標榜しているのもうれしいポイントだと思うのですが。

あまり知られていないことなんですが、デジタル一眼レフカメラのK10Dは日本の南極観測隊によるマイナス30~50℃にもなる地域での使用実績があります。そこで、その後継機であるK20D以降の機種ではも、0℃を超えてマイナス10℃耐寒をきちんと謳うことにしたんです。タフネスデジカメであるWG-1でもマイナス10℃の耐寒を謳っているのはそういう経緯もあって、登山にもしっかりオススメできるスペックだと思っています。

−そうだったんですか!まさに実績に裏付けられた自信ですね。厳冬期となるとつらいですが、やっぱり夏山でも気温が下がるところでは下がりますから、耐寒は気にしたいところです。耐寒以外にも、カメラケースは腕に装着するタイプのものと、山道具っぽいデザインのバッグとがオプションで用意されていますよね。このあたりもカメラメーカーとしては一歩踏み込んだ印象です。


ヘビーデューティーな用途を想定したアクセサリー、プロテクタージャケット O-CC1182(別売り)。

いかにもクライミングギア!という外観のカメラケース O-CC118(別売り)。

小さなカメラというのは実際首から下げて歩くとブラブラしますし、ザックに入れてしまうとなかなか出すのがおっくうになってしまいます。そういうことも含め、社内の登山をする人にもいろいろとアイディアをもらいました。また、開発担当者がさまざまな社外のアイテムをリサーチした結果こうしたオプションが生まれたんです。

−なるほど。それはクライマーとしてもうれしい話ですね。ちなみに、WG-1 GPSのGPS関連機能と、O-GPS1でできることとの違いはどんなところにあるのでしょうか?

GPS機能としては、WG-1は位置情報のログデータが取れるというところですね。写真を撮っていない間も連続的に位置情報を取得して、移動したルートを記録することができるんです。

−身近なところではGPSを搭載したスマートフォンなんかでも移動の軌跡をログに残すアプリケーションはありますけれど、山岳地域で使うとなると、バッテリーの消費が激しくて実用的ではありません。

そうかもしれませんね。もしよければWG-1 GPSを山行に持っていって、ぜひヤマーン!で実測値を出してみてもらえませんか。

−それは必ずやってみます(※4)。ということでふたつの製品についていろいろと伺ってきましたが、これから同じアウトドア系のデバイスを開発していくにあたり、盛り込みたいと思っている機能や、より進化させたい点などについて展望があればお聞かせください。

具体的には何とも言えなのですが、WGシリーズの後継機があるならば、よりタフにすることが求められていると思います。耐衝撃、耐水圧という二つの大きなポイントについて訴求力をより強くしたいですね。デザインについてはご好評をいただいているのでこのコンセプトを継承しつつ、より進化させたいところです。コンパクトデジカメに限って言えば、正直なところどのメーカーのものを選んでも写りについては似たり寄ったりな部分があります。ですから、ユーザーさんに商品を選んでいただく上ではやはり付加機能での勝負ということになってくると思っています。

−O-GPS1については売れ行きも好調なようですが、こちらについてはどうでしょうか?

おかげさまでデジタル一眼レフカメラのアクセサリーとしては異例の反響をいただいています。それから、WG-1についてもGPS機能搭載モデルのほうが安価な非搭載モデルよりたくさん売れているんです。正直こうした結果は予想外だったのですが、ユーザーさんのアウトドアユースへの関心は思ったよりも大きかった、というのが事実なんですね。ですからGPSについての機能充実とデータの活用についてもいろいろと展開できればと考えています。

−なるほど。本日はありがとうございました。

※1^ アストロトレーサー
PENTAX K-5、PENTAX K-rに装着すると、カメラ本体に内蔵した手ぶれ補正機構“SR(Shake Reduction)”と連動して簡易的な天体追尾撮影が行なえる。GPS情報から取得した緯度で天体の動きを算出し、内蔵している磁気センサーおよび加速度センサーから得られたカメラの状態(左右および上下の傾きと方位)によって、イメージセンサーを天体の動きに同調して移動させることで、長時間露光しても星が流れることなく、点像のままで撮影することができるというなんともお手軽かつ未来チックな機能なのだ。

※2^ 現時点ではhttp://www.pentax.jp/japan/products/o-gps1/simplenavigation02.htmlにてユーザー自身がパソコンを使ってオリジナルの目的地設定ファイルを作成し、それをカメラに読み込ませる方法が公開されている。

※3^ 真の北極と方位磁針が示す北(磁北)のズレ。地域によってこのズレにもバラつきがあるため、地図と実地の景色を照合させる際には必ずこの偏差を補正しなければならない。電子コンパスはこの偏差を補正した真の北極に対する方位角を示してくれる。

※4^ ヤマーン!編集の高久はWG-1 GPSの新色、シャイニーオレンジをこのインタビューの直前に予約購入していた。近日同機を山行に投入してリポートする予定である。

参考URL
PENTAX Optio WG-1/WG-1 GPS(発売中 オープン価格)
PENTAX GPS UNIT O-GPS1(発売中 オープン価格)

[Yuki TAKAKU]
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