妙義山をご存知でしょうか?群馬県南西部に位置する、複数の岩峰群が妙義山と呼ばる山域です。古来より山岳信仰の地としてにぎわい、二百名山に選出され、都内から一時間強という抜群の好アクセスを誇る登山エリアです。豊かな植生と大小さまざまな岩峰、そびえ立つ圧倒的な岩壁が、他に類を見ない様々な楽しみ方を可能にしてくれます。付け加えると、某走り屋漫画の初期に登場した、その分野の人にとっても馴染み深い地名です。
散歩道と岩峰の混在する山、妙義
そんな身近な妙義山ですが、標高1103.8mと低山に分類される標高とは裏腹に、非常に難易度の高いルートが多数存在します。もちろん一般的なハイキングルートも整備され、お年寄りやちびっ子でもハイクする事は可能ですが、ひとたび上級ルートに足を踏み入れると状況は一変します。随所に点在する鎖場と岩峰、50センチに満たない痩せ尾根、そして断崖絶壁。山と高原地図 西上州 妙義山・荒船山 2011年版で確認すると稜線上の破線ルートには至る所に黄色い「危険マーク」を見つける事が出来ます。
幻の「最上級」
極めつけに「山と高原地図」に添えられているルート案内の小冊子を開いてみると、「鷹戻し」や「相馬岳」といった主要な縦走ルートは「最上級」と記載されています。
え?、「山と高原地図」の難易度って「上級」「中級」「初級」じゃ無かったっけ...と、そう思ったあなたは非常に鋭い。しかし、これはまぎれも無い事実。どうやら剣岳や穂高にヒケを取らない岩稜&鎖場がこの地にあるらしい...
そんなわけで、ロープ、ハーネス、ヘルメットを装備して晩秋の妙義に行ってきました!
スタートは紅葉燃ゆる神社から
当日は天気予報に微妙に裏切られ、どんより曇り空の中スタート。中之岳神社でお参りを済ませて、しょっぱなから階段を急登します。

photo by hasegawa koichi
寝起きでこれはキツいだろ、イキナリ。と言いたそうな表情で登りきります。

ベストシーズンかと思いきや、少しくすんでしまった紅葉でしたが、それでも色づいた木々が美しかったです。

などと和んでいると、石門分岐付近の見晴し台に到着。上部を見上げると妙義山の岩壁が迫ってきます。左手から登って行く訳ですが、ルートと思われる箇所が既に垂直になっています。あそこを登るのかと思うと早くも戦慄が走ります。

まずは小手調べ的な鎖場。普段の山行だとこの鎖場だけでもハイライトになる訳ですが、今回はまだ始まったばかり。

岩稜に到達!
中ノ岳に取り付くといよいよ本格的な岩場が始まります。妙義山の岩質はホールドが大きく、手も足もしっかり効くので(いわゆるガバ)焦らずに登れば問題なくクリアできます。

photo by hasegawa koichi
見上げると先行したパーティーがピーク直下のクラックを通過しています。他人が登っているのを端から見るとドキドキするのは何故なんでしょうね。

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我々もクラックに突入。クラック内でヘルメットがこすれます。おろしたてグリベルが...

そして無事登頂。

ほっとしたのも束の間、今度は綱渡りのような痩せ尾根が連続し、断崖絶壁を通過します。やっとのことで鷹戻しの頭直下に到達。25mほどの鎖場は、核心部分がほぼ完璧な垂壁を形成しています。ジムだとなんて事のない壁でも岩場だと緊張感が一気に高まります。

上部から。 後ろで他のパーティーが待っていても焦りは禁物。

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鷹戻しで懸垂下降訓練

photo by hasegawa koichi
鷹戻しの頭で小休止を挿み、一息ついたら次は下降に移ります。実は今回の計画では、妙義山鷹戻し縦走を踏破するだけではなく、岩場でのロープワークトレーニングとして、懸垂下降を行う予定で来ていました。ヘルメットとハーネスはともかくとして、50mロープまで用意していたのは懸垂下降の装備であり、ここからが本日のメインタスクだったわけです。ちなみに支点を取る位置によって、50mロープでは足りなくなる場合があるので、確認してから設置しましょう。
遠く眼下に富岡の町を望みながらロープを設置します。
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ATCにロープを通して、いざ懸垂下降。

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下から見上げるとこんな感じ。傾斜自体はスラブ程度ですが高度感がハンパない、さすが「鷹戻し」。

何度も鷹戻しを往復し、講習会みたいになっていました。

引き続き、相馬岳まで縦走。断続的に鎖場が続くものの鷹戻しのような危険箇所はなく、比較的にリラックスムードで進みます。

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周回ルートでタルワキ沢から中之岳神社へ
妙義神社まで完全縦走を敢行したかったのですが、時間の都合で白雲山の手前でタルワキ沢を下り中之岳神社へ向かいます。稜線から南斜面を下ると、一般登山道に合流し、スタート地点の中之岳神社に戻る事が出来ます。妙義山は多数のルートが存在しているため、周回ルートを組みやすいのも魅力の一つと言えます。
しかし、ここからが以外に長く(往きとほぼ同じ距離を戻る)2〜3時間かかります。登り返しも数カ所存在し、岩場で酷使した五体には応えるトレッキングが続きます。 それでも妙義山ならではの景色が疲れた体にもう一踏ん張り活力を与えてくれます。

最後にゴール目前の大砲岩で絶景を眺めて今日の疲れを癒しましょう。

大砲岩、天狗の評定からは、紅葉した木々を真上から眺められます。この一体の紅葉は本当にきれいでした。

装備について
今回は懸垂下降を行う予定だったのでロープを使用しましたが、他のパーティーでロープを出したり、確保をしている場面には遭遇しませんでした。しかし、登山道入り口の看板にはロープ携行を促す注意書きもあり、入山の際は是非お持ちください。また、ヘルメットに関しては、半数のパーティーで着用されていました。こちらも落石などに遭遇はしなかったですが(ラークと言いたいだけの人がパーティー内に居ましたが)、やはり装備に含めたいですね。

ちなみに皆さんのシューズ観察していると、Five Ten率高し。さすが岩峰群と言うべきでしょうか。今回トレッキングブーツを履いて行きましたが、クライミング的な楽しさを追求するならガイドテニーなどアプローチシューズを履いたほうが圧倒的に楽しめそうです。
ルートと周辺情報
今回は「中之岳神社ー中之岳ー鷹戻しー相馬岳ータルワキ沢ー中間道ー大砲岩ー中之岳神社」
を巡る周回ルートを組みました。およそ12km、9時間半の行程でした。
山行の後に欠かせない温泉は、妙義神社から車で5分程度の場所にある妙義ふれあいプラザがおすすめです。(大人500円、小人300円)
コンビニは全くないので食料などは出発前に準備しておきましょう。




